作業手順の覚え方|手順書の読み方とメモの取り方

入って最初につまずくのは、体力より「覚えられるか」であることが多くあります。工場の作業は手順が決まっているぶん、覚え方にもコツがあります。
全部を一度に覚えようとしない
担当する工程には、いくつもの動作が含まれています。最初から全部を完璧にしようとすると、どれも中途半端になります。順番を決めてください。
- 1段階目:安全に関わること(触ってはいけない場所、止め方)
- 2段階目:動作の順番(何を、どの順で)
- 3段階目:確認の仕方(できたかどうかをどう見るか)
- 4段階目:速さ(ここは最後でよい)
速さを最初に追いかけると、順番も確認も飛ばすことになります。速さは最後に付いてくるものだと決めておいてください。
手順書は「なぜ」を探しながら読む
手順書には、やることが順に書かれています。ただ、順番を丸暗記しても応用が利きません。次の視点で読むと定着します。
| 読むときの問い | 分かること |
|---|---|
| この工程の後は誰が何をするか | 自分の作業が何に影響するか |
| なぜこの順番なのか | 順番を変えてはいけない理由 |
| どうなったら不良なのか | 確認すべき点 |
| どこで事故が起きうるか | 気をつける場所 |
とくに1つ目です。自分の後ろに人がいると分かると、確認の意味が変わります。
メモは「その場で」「短く」
あとで書こうとすると、たいてい忘れます。教わったその場で、キーワードだけ書いてください。
- 持ち歩けるサイズのメモ帳と、胸ポケットに挿せるペンを用意する
- 文章にしない。単語と矢印で十分
- 数字(トルク値、個数、位置)は必ず書く
- 迷った点に印を付けておき、あとで聞く
現場によっては作業中に書けないこともあります。その場合は休憩に入った直後に書いてください。時間が経つほど細部が抜けます。
帰ってから5分だけ整理する
その日のメモを、帰ってから見返してください。5分で構いません。
- 読めない字を書き直す
- 順番どおりに並べ直す
- 分からなかった点を、明日聞く言葉にしておく
これをやるかどうかで、覚える速さがはっきり変わります。寝る前に一度たどるだけでも、翌日の手の動きが違います。
聞き方を決めておく
分からないまま進めるのがいちばんまずい選択です。聞くときは、次の形にすると相手も答えやすくなります。
「ここまでは◯◯の順でやりました。次に△△をする理解で合っていますか」
自分の理解を先に出すと、どこがずれているかがすぐ分かります。「分かりません」だけより、はるかに早く解決します。
覚えられないと感じたときの見方
多くの方が2週目あたりで「自分だけ遅いのでは」と感じます。ただ、周りの人も同じ時期を通っています。
| 時期 | だいたいの状態 |
|---|---|
| 1週目 | 手順を追うだけで精一杯。これで普通 |
| 2週目 | 順番は分かるが、手が追いつかない |
| 3〜4週目 | 手が勝手に動き始める |
| 2ヶ月目以降 | 周りが見えて、先回りできるようになる |
比べる相手は昨日の自分です。数ヶ月やっている人と比べても意味がありません。
体で覚える部分がある
手順は頭で理解できても、手が動くようになるまでには繰り返しが要ります。これは能力ではなく回数の問題です。
同じ動作を1日に何百回と繰り返すため、3〜4週目には考える前に手が出るようになります。その段階まで来ると、余裕ができて周りが見えます。「覚えられない」と感じる時期は、まだ回数が足りていないだけであることがほとんどです。
教わり方にもコツがある
- やって見せてもらったら、その場で一度やらせてもらう
- 「ここまで合っていますか」と区切って確認する
- 一度に3つ以上を教わらない。多ければ「まずここまでで」と言ってよい
- 教えてくれた人の名前を覚える。次に聞きやすくなる
3つ目は言いにくいかもしれませんが、受け止めきれないまま進むより、区切ってもらうほうが結果的に早く覚えられます。
やってはいけない覚え方
| やりがちなこと | なぜまずいか |
|---|---|
| 自己流の手順に変える | 品質と安全の前提が崩れる。気づいたら提案として出す |
| 分からないまま流す | 後工程に影響する。早いほど傷は浅い |
| 速さだけを追う | 確認を飛ばすことになり、不良につながる |
とくに1つ目です。やりにくい点があるなら、勝手に変えるのではなく相談してください。実際に改善につながることもあります。
流れ作業では覚え方が変わる
ライン作業のように時間で区切られる工程では、手順書を読み込む時間が作業中にありません。覚え方そのものを変える必要があります。
- 手順を「順番」で覚える。一つ終われば次が思い出せる形にする
- 体の動きとセットで覚える。頭で思い出すより速い
- 迷いやすい箇所だけをメモにする。全部を書き写さない
- 休憩のあいだに、次の工程を一度だけ確認する
読んで覚えるのは作業の前後だけ、と割り切るほうが早く身につきます。作業中に思い出せない手順は、覚えたことになっていません。
複数の工程を覚えると強い
ひとつの工程に慣れたら、別の工程も覚える機会が出てきます。面倒に思えますが、できる工程が増えるほど現場で重宝され、単調さも減ります。
そしてこれは、次の仕事に移るときの材料にもなります。担当した工程を具体的に言えることは、そのまま経験の証明になります。
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