法律で決まっていることと、会社が決めていること|線引きの見分け方

働く条件の話をしていると、「決まりですから」と言われる場面があります。ですがその決まりが、法律なのか会社の判断なのかで、話はまったく違います。
なぜ線引きが大事なのか
法律で決まっていることは、会社が勝手に変えられません。会社が決めていることは、変わる余地があります。
どちらなのかが分かれば、聞き方が変わります。ここが分からないと、諦めるか、無理を言うかのどちらかになります。
大きく3つに分かれる
| 法律で決まる | 下回れない最低の線。会社は守る義務がある |
|---|---|
| 会社が決める | 法律の線より上で、会社が選んでいる部分 |
| 個別に決める | 契約で本人と会社が取り決めた部分 |
求人票に並んでいる条件は、この3つが混ざっています。
法律は「最低の線」を決めている
法律が定めているのは、たいていこれ以下にしてはいけないという線です。上を良くするのは自由です。
だから「法律どおりです」と言われても、それ以上にできないという意味ではありません。
法律で決まっている側の例
- 働く時間の上限と、休憩を与えること
- 一定の期間働いた人に休みを与えること
- 時間外や深夜に働いたときの割増
- 条件を書いたものを示すこと
- 安全のための教育をすること
これらは会社の親切ではなく、義務です。
会社が決めている側の例
- 交通費をどう出すか
- 寮を用意するかどうか、費用の扱い
- 一時金や手当の中身
- 休みの日をどう並べるか
これらは会社ごとに違って当然の部分です。だから比べる意味があります。
交通費は義務ではない
多くの人が誤解している例です。出すかどうか、いくらまで出すかは会社が決めています。
だから求人ごとに違います。「出るのが普通」ではありません。
寮も義務ではない
住まいを用意することも、費用をどう扱うかも、会社の判断です。
用意されているなら、それは条件の一部です。比べるときに数えてよい部分になります。
休みは両方が混ざっている
一定の期間働いた人に休みを与えることは法律の話です。一方、年間の休日をどれだけにするかは会社が決めます。
同じ「休み」でも、言っている中身が違うことがあります。
「うちの決まりで」と言われたら
それが会社の決まりなら、就業規則に書かれているはずです。どこに書いてあるかを聞いてみてください。
書かれていない「決まり」は、決まりではないことがあります。
就業規則より下げられない
会社の決まりも、法律の線より下にはできません。書いてあっても効かない部分が出ます。
だから「規則にそう書いてある」だけでは、話は終わりません。
契約で決めた部分
時給や期間、働く場所は、契約で個別に決めています。ここは入る前がいちばん動く場面です。
働き始めてからでは、変えるのに理由が要ります。
後から下げることはできるか
一度決めた条件を、会社の都合だけで下げることは簡単ではありません。手続きが要ります。
説明もなく変わっていたら、それは確かめてよい場面です。
「みんなそうだから」は理由にならない
周りが受け入れていることと、正しいことは別です。長く続いている慣習が、法律に合っていないこともあります。
周りを基準にせず、書いてあるものを基準にしてください。
調べ方
気になったことは、公の窓口で確かめられます。無料で相談できる場所があります。
会社と争うためではなく、どちらの話なのかを知るために使ってください。
聞くのは失礼ではない
「これは法律で決まっていることですか、社内の決まりですか」と聞くだけです。
まともな職場なら、答えられて当たり前の質問です。
知っていると交渉できる
会社が決めている部分なら、相談の余地があります。法律の部分なら、そもそも下げられません。
どこを押せるかが分かるだけで、話の進め方が変わります。
逆に、無理な要求も分かる
法律で決まっていない部分を「決まっているはずだ」と言えば、話は進みません。
正しく分けられると、自分の要求も現実的になります。
求人を比べるときに効く
法律で決まっている部分は、どの求人にも共通しています。比べる意味があるのは、会社が決めている部分だけです。
そこを見れば、条件の良し悪しが短時間で分かります。
細かい数字は窓口で確かめる
時間の上限や日数は、働き方によって変わります。ここで丸暗記しても、自分に当てはまるとは限りません。
自分の場合はどうかを、公の窓口で確かめるのがいちばん確実です。
覚えるのは考え方だけでよい
条文を覚える必要はありません。「これは法律か、会社か」と一度考える癖だけで足ります。
それだけで、言われたことを鵜呑みにせずに済みます。
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