固定残業代(みなし残業)とは?求人票の月給に含まれるものを読み解く

求人票の月給を見て応募したのに、思っていたより残業代が増えなかった——という話の多くは、固定残業代の仕組みを知らなかったことから起きています。難しい制度ではありません。読み方さえ分かれば、応募前に見抜けます。
固定残業代とは何か
あらかじめ決めた時間分の残業代を、残業の有無にかかわらず毎月支払う取り決めです。求人票では「みなし残業」「固定残業手当」と書かれることもあります。
大事なのは、これが残業代を払わなくてよい制度ではないという点です。決めた時間を超えて働いた分は、別に支払われなければなりません。
求人票のどこに書かれているか
| 見る欄 | 書かれていること |
|---|---|
| 給与欄 | 月給の金額と、そのうち固定残業代がいくらか |
| 同じく給与欄 | 何時間分に相当するか |
| 備考欄 | 超えた分を別に支払う旨 |
この3点は、求人を出す側が明示するよう国の指針で求められている項目です。金額だけ書かれていて時間数が無い、超過分の記載が無いという求人は、その時点で確認が要ります。
同じ月給でも中身が違う
| 求人A | 求人B | |
|---|---|---|
| 月給 | 25万円 | 25万円 |
| うち固定残業代 | なし | 4万円(25時間分) |
| 基本の賃金 | 25万円 | 21万円 |
| 25時間残業したとき | 25万円+残業代 | 25万円のまま |
並べると差がはっきりします。比べるべきは月給の数字ではなく、固定残業代を引いたあとの金額です。ここを合わせて初めて、同じ土俵で比較できます。
決めた時間を超えたら
超えた分は別に支払われます。「固定残業代を払っているから何時間働かせてもよい」という扱いは認められていません。
- 給与明細で、超過分が別の欄に出ているかを確認する
- 出ていないのに超えて働いているなら、勤務先に確認する
- 自分の残業時間を控えておくと、確認するときに話が早い
残業が少ない月はどうなるか
決めた時間に届かなくても、固定残業代は減りません。月給として支払われます。ここは働く側にとって有利な面です。
つまり固定残業代そのものは、悪い仕組みではありません。問題になるのは、金額の見え方だけが大きくなっている求人です。
応募前に確認する3つのこと
- 1. 固定残業代がいくら含まれているか。含まれていないなら、そう書かれている
- 2. 何時間分か。時間数が多いほど、その時間まで働く前提の職場と考えられる
- 3. 超過分が別に支払われるか。書面で確認する
面接や問い合わせの場で聞いて構いません。答えられない、はぐらかされるという反応そのものが判断材料になります。
時給制の求人ではどうなるか
時給で募集している求人には、固定残業代という考え方は基本的に出てきません。働いた時間に時給を掛け、時間外は割増で計算されるためです。
製造業の現場では時給制の募集が多く、働いた分がそのまま金額に反映される形が一般的です。月給制の求人と比べるときは、この違いを踏まえて計算してください。
入社してから気づいたときは
働き始めてから「思っていた計算と違う」と気づくこともあります。順に確かめれば、たいていはその場で解けます。
| 確かめるもの | 見るところ |
|---|---|
| 雇用契約書 | 月給の内訳。固定残業代の金額と時間数が書かれている |
| 給与明細 | 固定残業代の欄と、超過分の欄が分かれているか |
| 自分の勤務時間 | 実際に何時間残業したか。控えがあると照らし合わせられる |
この3つを並べれば、払われているのか、足りていないのかが自分で判断できます。食い違いがあれば、まず勤務先の担当者に確認してください。それでも解けない場合は、労働基準監督署に相談の窓口があります。無料で、話を聞いてもらうだけでも構いません。
月給と時給、どちらで比べるか
固定残業代があるかどうかは、賃金の決め方によって変わります。形が違うものを、そのまま並べないでください。
| 月給制 | 時給制 | |
|---|---|---|
| 固定残業代 | 含まれていることがある | 基本的に出てこない |
| 働いた分の反映 | 決めた時間までは同じ額 | 働いた時間がそのまま反映される |
| 残業が少ない月 | 減らない | 減る |
| 比べ方 | 固定残業代を引いてから見る | 時給×時間で計算する |
どちらが有利かは、自分が実際に働く時間によって変わります。残業が読めないなら時給制、安定を取るなら月給制、という見方もできます。
求人票に書かれていないときの聞き方
- 「月給に固定残業代は含まれていますか」
- 「含まれている場合、何時間分ですか」
- 「超えた分は別に支払われますか」
- 「残業がまったく無い月の支給額はいくらになりますか」
最後の質問がいちばん分かりやすい形です。その答えが、実際に毎月確実に入る金額にあたります。生活の計画は、その数字で立ててください。
その場で頼まれたとき
残業を頼まれたときに受けるかどうかは、こちらで決めて構いません。断ったから評価が下がるとは限りません。
まとめ
- 固定残業代は、決めた時間分の残業代を先に払う仕組み
- 超えた分は別に支払われる。払わなくてよい制度ではない
- 比べるときは、固定残業代を引いた金額でそろえる
- 金額・時間数・超過分の3点が書かれているかを見る
求人票は読み方が分かれば、条件の良し悪しがその場で判断できます。数字の大きさではなく、中身が書かれているかどうかで見てください。
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