求人票の「月収例」はどう読む?内訳を分解して手取りに直す

求人票に載っている月収例は、その条件で働いたときにいくらになるかを示した金額です。嘘ではありませんが、そのまま毎月入ってくる金額でもありません。分解して読めるようになると、求人の比較が正確になります。
月収例は「条件つきの金額」
月収例には、たいてい前提が付いています。残業が何時間、深夜勤務が何回、といった条件です。その前提が書かれているかどうかが、まず見るところです。
前提が書かれていない月収例は、比べる材料になりません。書かれていれば、自分が働くつもりの時間と近いかを確かめられます。
内訳に入っているもの
| 項目 | 性質 |
|---|---|
| 基本の賃金 | 時給×所定の労働時間。毎月ほぼ変わらない |
| 時間外手当 | 残業した分。月によって変わる |
| 深夜手当 | 交替勤務なら乗る。日勤だけなら乗らない |
| 休日出勤の手当 | あった月だけ |
| 各種手当 | 条件を満たしたときだけ付くものがある |
変わらないのはいちばん上の行だけです。下の4つは働き方と月によって動きます。生活の計画は、動かない部分を軸に立てるほうが安全です。
同じ月収例でも中身が違う
| 求人A | 求人B | |
|---|---|---|
| 月収例 | 30万円 | 30万円 |
| 前提の残業 | 月20時間 | 月45時間 |
| 前提の夜勤 | あり | なし |
| 働く時間 | 少ない | 多い |
金額が同じでも、そこに至るまでに働く時間がまったく違います。時間あたりで見ればAのほうが条件が良く、残業が減った月の落ち込みも小さくなります。
額面と手取りは違う
月収例は引かれる前の金額です。ここから社会保険料と税金が引かれます。
- 健康保険と厚生年金。金額に応じて決まる
- 雇用保険
- 所得税
- 住民税。1年目は引かれず、2年目から引かれ始める
目安として額面の8割前後が手元に残ると考えると、大きくは外れません。寮費や水道光熱費の負担があるなら、そこからさらに引きます。
分解する手順
- 1. 月収例から、残業と深夜の手当を引く
- 2. 残った金額が、働き方によらず入る部分
- 3. そこに、自分が実際に働くつもりの残業時間で計算し直す
- 4. 8割をかけて、手取りの見込みにする
- 5. 家賃や寮費など、毎月出ていくものを引く
この5段階を踏むと、求人どうしを同じ形で比べられます。紙に書き出すのが確実です。
月収例が控えめな求人が悪いわけではない
前提を正直に置いている求人ほど、月収例は控えめになります。逆に、残業を多めに見込んだ求人は数字が大きく出ます。
数字の大きさは、条件の良さと同じではありません。前提が書かれているか、その前提が自分の働き方と合うかで見てください。
聞いてよい質問
- 「月収例の前提になっている残業時間はどのくらいですか」
- 「繁忙期と閑散期で、残業はどのくらい変わりますか」
- 「寮費や水道光熱費の負担はありますか」
いずれも応募の段階で聞いて構わない内容です。入ってから知るより、聞いて確かめるほうが双方にとって早く済みます。
毎月出ていくものを引いてから比べる
手取りまで出したら、最後にもう一段あります。そこから毎月出ていく金額を引いた「残る額」で比べることです。
| 出ていくもの | 求人によって差が出る |
|---|---|
| 家賃または寮費 | 差がいちばん大きい。無料か有料かで数万円動く |
| 水道光熱費 | 寮費に含まれる場合と、別に払う場合がある |
| 食費 | 食堂があるかどうかで変わる |
| 通勤にかかる費用 | 手当が出るか、自己負担かを確認する |
月収例が高くても、家賃と光熱費を自分で払えば手元に残る額は逆転します。比べるべきは入る金額ではなく、残る金額です。この一手間で、求人の見え方はかなり変わります。
入社後、明細と照らし合わせる
月収例が正しかったかは、最初の給与明細で確かめられます。どの欄がどこに対応するかを知っておいてください。
| 明細の欄 | 月収例のどの部分か |
|---|---|
| 基本給または基準内賃金 | 時給×所定の労働時間。動かない部分 |
| 時間外手当 | 残業の分。前提より少なければここが減る |
| 深夜手当 | 交替勤務のとき。日勤だけなら付かない |
| 各種手当 | 条件を満たした月だけ |
| 控除の欄 | 月収例には含まれていない。ここが引かれる |
差が出たら、まず残業時間が前提どおりだったかを見てください。ほとんどの食い違いはここで説明がつきます。
最初の月は少なくなりやすい
- 月の途中で入社すると、その月の勤務日数が少ない
- 締め日の関係で、支払われるのが翌月になることがある
- 入社直後は残業が少ない工程に入ることがある
- 寮の費用や貸与品の精算が、初月にまとめて出る場合がある
これらは一時的なもので、2か月目からは月収例に近づきます。最初の1か月だけを見て「話が違う」と判断しないでください。その代わり、最初の給与日までをどう越えるかは先に決めておく必要があります。
まとめ
- 月収例は、前提つきの金額。前提が書かれているかを見る
- 変わらないのは基本の賃金の部分だけ
- 額面の8割前後が手取りの目安
- 比べるときは、同じ残業時間に直してからそろえる
数字を分解する習慣がつくと、求人選びで外しにくくなります。金額そのものではなく、その金額に至る条件を見てください。
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